呼吸器外科

診療日程

(令和2年4月1日現在)

 
午前         仲田庄志

 

特徴

 当院では、胸部を診療する外科として「呼吸器外科」が開設されました。もちろん、心臓疾患は心臓血管外科、食道疾患は消化器外科(当院では外科)が診療します。診療科の細分化・専門化により、臓器別での診療が行われてきました。当院では、永らく呼吸器診療が停滞しておりましたが、当科の新設により、呼吸器内科・放射線科・病理診断科・心臓血管外科・外科と協力しながら、呼吸器疾患の診療を進めていきます。

 診療対象は、肺や縦隔、胸膜・胸壁などの領域を治療の対象とする診療科です。

 呼吸器外科医の扱う病気で最も多いのが肺癌です。ご存じの通り、肺癌はわが国でも増加の一途をたどっています。しかしながら、呼吸器外科医(とくに呼吸器外科専門医)は少なく、これまで不足していると言われていた麻酔科や産婦人科の半数以下です。当院にかかりつけの方で、呼吸器外科の手術が必要な時は、これまで他院を受診していただいておりました。病気ごとに受診する病院が異なれば、通院の回数も多くなり、検査の重複などデメリットがあったと思います。

 今後は当院でも、呼吸器疾患の診断(CT検査・気管支鏡検査など)から治療(外科治療・化学療法など)まで一貫した診療が可能となりました。

 また、すでに医学博士やあらゆる専門医の資格は有しておりますが、診療の傍らで学術活動にも励んでおります。(医療技術は進歩しておりますが、日常診療で生じる疑問はまだまだたくさんあります。それらについて、我々の考えや手法を発表していくことは重要と考えているからです。)

 当科はスタッフが少ないですが、逆に基本的な処置から手術まで、これまでの診療経験と変わらぬ質の高い医療を提供できると自負しております。

 

代表的な疾患

肺腫瘍(原発性肺癌、転移性肺腫瘍 その他)

囊胞性疾患(気胸、囊胞性肺疾患、巨大肺囊胞 など) 

胸壁・胸膜疾患(胸膜中皮腫、孤立性線維性腫瘍、胸壁腫瘍、膿胸 など)

縦隔腫瘍・縦隔疾患(胸腺腫、胸腺癌、縦郭炎、胚細胞性腫瘍、気管支囊胞、胸腺囊胞、心膜囊胞 など)

先天性疾患(肺分画症、肺動静脈瘻、気管支閉鎖症 など)

 

治療方針

・ガイドラインに沿った診療

 医療の発達した現在では、さまざまな病気に対してそれぞれ診療ガイドラインがあります。当科では診療ガイドラインに沿った治療(標準治療)を行います。しかしながら、個々人により年齢や臓器機能、肺活量は異なり、若干の修正が必要なこともあります。これまでの経験を活かした診療を行います。

 診療ガイドラインに沿った治療を大前提としますが、個々人に合わせた個別化治療でよりよい治療効果を目指していきます。

 

・十分なわかりやすい説明

 外科を受診される方は、「健康診断で異常が指摘された」「近くの病院で手術が必要と言われた」など、さまざまだと思います。その心情は穏やかでなく、病気や治療のことだけでなく、いろいろな不安があると思います。

 初診では、病気の程度や全身機能の評価を行い、どのような治療を、いつぐらいに行うのがいいのか、を検討します。その上で、目の前の方(患者さん)の悩みや不安を把握し、道しるべ(治療方針)を示すことを心掛けております。

 外科治療は、痛みやいろいろな体への負担(外科的侵襲)、ある一定の確率で起りえる不利益(合併症)があります。手術を受けられた場合、術後の経過や合併症に頻度を具体的な数字で説明しております。

 

 昨今の流れから、医師の説明責任は非常に重要なものです。病状説明は、医学用語を使えば誤解は少なくなりますが、話が難しく感じ説明を理解できなくなります。逆に医学用語を言い換えすぎると、説明が長くなり一部分しか理解できなくなります。同じ病状で同じ内容の説明をしても、これまでの病気の経験により考え方も千差万別です。また、同じ内容説明であっても、説明者の話し方や態度で全く違う印象になることもります。

 医師は、十分な説明をする義務がありますが、”十分”というのは”一度にたくさん”という意味ではないと思っております。実際に、顔色を見ながら言葉を選び、時間を考えながら、必要あれば繰り返し行うことが”十分な説明”だと考えています。

 外来では、最初の数分で患者さんの心理的負担を少なくし、重要な医学用語をわかりやすく説明し、病状や治療内容を正確にお伝えします。そのために、お一人での受診より、ご家族の方と来院されてください。

 

診療の特徴

・肺腫瘍

 外科治療の特徴は、胸腔鏡を使った手術を行っています。病気の状態と全身状態と肺機能を勘案し、手術術式やアプローチ・皮膚切開部位などを決定しています。ほとんどの方は腕を真っすぐにおろせば、手術の跡がわかないほどの傷で手術を行っています。

・気胸 

 全国統計では、気胸は肺癌に次いで2番目に多い呼吸器外科の手術疾患です。しかしながら、悪性疾患でなく、手術も短時間で終わることが多いために、”手術の入門編”として行われている実情があります。しかしながら、気胸は自然気胸以外にもさまざまな疾患

(胸腔内異所性子宮内膜症 いわゆる月経随伴性気胸、リンパ脈管筋腫症、Birt-Hogg-Dube症候群など)の総称で、これらに対する知識と経験がなければ、”難治性気胸”になる場合もあります。気胸肺囊胞性疾患学会に所属している医師も少なく、学問的な位置づけは肺癌や悪性胸膜中皮腫に比較して低いと言わざるを得ません。

 当科では、自然気胸に対して治療ストラテジーを持ち、手術方法についても独自のデータを示しながら、診療を行っております。

・胸膜悪性中皮腫

 アスベストの関連する疾患です。以前は建築資材としてアスベストが使用されておりましたが、1960年代までに発がん性や疾患との因果関係を示す医学的知見が世界的に確立されました。使用禁止や輸入禁止が確立されたのは、2000年代に入ってからのことになります。アスベスト暴露から疾患の発症までには、数十年の潜伏期があると言われています。加えて、阪神地区では震災での家屋倒壊の影響でアスベストを扱う仕事に従事していない方でもアスベスト暴露の可能性があります。

 胸部X線やCTでの異常や原因不明の胸水を指摘された方に対し、上記を念頭におきながら正確な診断と適切な治療を行っております。

 

さいごに

 病気を知ろうとして、インターネット検索をすると、2回傷つくと言われています。

 1つ目は病気になったこと、2つ目はネットで知った知識で傷つくというものです。ネット検索では、他人の情報を見ているにすぎません。

 当科では、個々人の病状やデータを基に、その人その人に合わせた情報を説明し、どのような病状か治療を説明します。その考えでホームページの内容を記載しました。