気胸のよくあるエピソード

Thoracic surgery

気胸のよくあるエピソード

若い方の気胸で、よく診療するパターンをいくつか紹介します

① 10代男性

前前日の夜にいつもと変わらないように就寝したが、昨日朝起きたときになんか違う感じがした。学校には普通に行ったが、体がしんどい感じがした。
今朝になっても、完全によくなっていないので、念のためにクリニックを受診した。
昨日より、しんどい感じはしなかった。レントゲンで右自然気胸と言われて、病院に紹介された。
病院では、重症度3度の気胸と言われた。SpO2 98%

(解説)

自然気胸でよく聞くお話しです。ご本人は、軽微な症状で、息苦しいとか、胸の痛みがない状態です。昨日よりも症状が良くなり、SpO2 (経皮的酸素飽和度)も良好ですが、なぜ重症なのでしょうか?

これは、発症から時間が経ち、健常な肺(この場合、左肺)でガス交換能が代償されたためと考えられます。従って、症状は良くなっていても、脱気などの治療が必要になります。入院にて胸腔ドレナージ(持続的な脱気治療)が好ましい状態です。

*SpO2 コロナで有名になりましたが、特に病気のない方は通常96-99%です。

② 20代男性

数日前から咳があり、左胸が痛い。半年前に、右気胸の手術をした。その時と似たような痛みだから、病院に受診した。

(解説)

一度気胸を経験されると、ご自身で気胸になっているかどうかの判断が付く方もおられます。気胸は、common disease(ありふれた病気)でレントゲン1枚で診断ができます。気胸になっているかどうか心配な方は、医療機関への受診をお勧めします。

休日・夜間の場合は、当院の救急外来にご相談ください。

③ 20代女性

以前から、年に何度か右の胸が痛くなることがあったが、特に病院は受診していない。今回も昨日から右胸が痛い。偶然かもしれないが、月経の始まったときに胸が痛くなる。

(解説)

女性の方に自然気胸は少ないと説明していますが、月経と関係のある気胸もあります。いわゆる“月経随伴性気胸”です。女性が気胸で受診された場合、月経のことを問診するのは、この病気の除外のためです。

古典的な診断基準は、「1年間に2回以上、月経と一致した気胸が発症する」ことです。少し特殊な診断と治療が必要な病気です。

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