放射線被爆量や造影剤投与量が低減!新型血管撮影装置を導入

日本人の三大疾病のひとつである心臓病は、超高齢化社会が進むなかで年々増加傾向にあります。また、気温がぐっと下がるこの時期は、心筋梗塞や脳血管障害などの心血管病のリスクが高まる季節でもあります。

そこで、循環器内科の井上信孝部長、岩田幸代副部長、小澤徹副部長に、2011年11月より導入された最新機器の特徴とともに、多様化・若年化の進む循環器疾患に対する取り組みについて聞きました。

 

 

 Q:心臓疾患に対する治療の専門装置として、最新型の血管撮影装置「Artis zee BC」が導入されたそうですが、その特徴と治療に与えるメリットを教えてください。

井上:血管内に非常に細い管(カテーテル)を挿し込み、そこに造影剤を注入することで、微細な血管の診断を可能とする血管造影装置です。最大の特徴は、現行のものに比べて画像がより高精細になったこと。また、見た目はコンパクトですが、全身180センチ以上の透視・撮影が可能で、フルデジタルで非常に細かいところまで映してくれます。血管の狭窄や梗塞など、ごく小さな病変も早期に発見できるでしょう。
 

心臓画像岩田:検査後にステント(金属網)を留置するといった治療では、モニター上で血管内部の位置を確認しながら操作するため、視認性の向上はとても大きなメリットです。また、2方向からの同時撮影が可能となったことは、一度により多くの情報が得られ、施術時間の短縮、造影剤の使用量を減らすことで被験者の体への負担を軽くすることにもつながります。さらに、今までの装置より画像クオリティを下げることなく、放射線被爆量も低減されています。

井上:撮影した画像は、当院内の「画像ネットワーク」でつながれているため、検査室以外の場所でも閲覧できます。たとえば、検査や施術後すぐに、病棟で実際の画像を見ながら担当医の説明を聞く、といったことができるんですよ。

 

Q:神戸労災病院の循環器内科の強みは何ですか?

井上部長井上:心臓疾患には慢性的なものもありますが、急性冠症候群や急性心筋梗塞、急性心不全といった急性期疾患の場合は、ちょっとした発見や処置の遅れが生死を分けてしまうこともあります。神戸労災病院は、地域医療の拠点として、24時間365日循環器救急を受け入れる体制を整え、急性期の対応にも力を入れています。また、岩田副部長、小澤副部長は、心臓カテーテルの専門医(日本心血管インターベンション治療学会)として認定を受けておりますが、この規模の病院に2名の専門医がいるのは全国的に見ても希なことです。

小澤:急性期の心臓疾患の場合、非常に深刻な状態で運ばれてきた患者さんが、帰りには自分の足でぴんぴん歩けるようになるほど、急激かつ劇的に回復されるケースが少なくありません。専門医としては、迅速かつ適切な判断と正確な治療が求められるので、大きな緊張と重責を感じますが、元気になられた患者さんの笑顔を見たとたんに苦労も疲れも吹き飛んでしまいます。

岩田:総合病院の強みを生かし、心臓外科や呼吸器内科といった他科と連携して治療にあたっていけることも医師としての醍醐味のひとつ。たとえば、「睡眠時無呼吸症候群」の治療法である陽圧換気(器械力で呼吸を補助する方法)は心不全の治療にも応用できるんですよ。

 

Q:循環器内科における今後の取り組みや目標などをお聞かせください。

岩田副部長小澤:医学研究が進むとともに、医療技術や医療機器も目覚しい進歩を続けています。私たちが検査や治療に用いるカテーテルにしても、以前なら0.014インチのものが主流でしたが、現在は「09」と呼ばれる0.009インチのものが出回り、微細な血管の中でも作業できるようになりました。製作技術的にはさらに細くできると聞いていますが、それを使いこなす医師の技術や、血管撮影装置「Artis zee BC」のように人間の能力をサポートする器械がなければ、道具だけ揃っていても宝の持ち腐れです。最先端の技術を生かすためにも、医師として経験を積み、判断力にも磨きをかけていきたいです。そして、一人でも多くの方の笑顔を見られるよう努力せねばと思っています。

下肢画像岩田:いくら寿命が延びたといっても、人体は老化に逆らえません。血管は加齢と共に弱く、硬くなり、蛇行した血管ではカテーテル治療も難しくなってきます。この先、高齢化社会の進行とともに心疾患に悩まされる方はますます増えてくるでしょう。また、ストレス社会や食生活や環境の変化などの影響からか若年化が進んでいる疾患もあり、どなたにとっても無縁の病気ではないのです。自覚症状のないうちに進行しているケースもありますので、早期発見のためにも最新設備の整った当院での検査、定期健診をおすすめします。また、今後は不整脈に対するカテーテル治療にも取り組んでいこうと考えています。

井上:医学者ウイリアム・オスラーは「人は血管とともに老いる」という言葉を遺しています。神戸の街には、ご高齢になっても趣味や仕事をエンジョイしておられるアクティブ・シニアが多いですが、健やかな老後のためには、血管をしなやかに保つことが肝心。いざという時に頼れる病院が地元にあること、予防からリハビテーションにいたるまでサポートしていることを覚えておいていただけると嬉しいです。

 

 

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