救急隊との連携で 二次救急を積極的に受け入れ ~地域に奉仕する救急室を目指して~

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当院は、入院や手術を要する症例に対する「第二次救急」の受け入れ病院として、主に中央区・灘区周辺の患者さんの命を24時間・365日見守り続けています。201511月には、中央消防署から贈られる「中央防災の賞」の「救急協力」の区分で表彰されました。今回は、救急室を担当する総合内科の森健茂医師、消化器内科の吉見健太郎医師、救急看護認定看護師の大和屋陽子さんに、救急医療の現場についてお話をうかがいました。

 

 

初療に至るまでの判断も重要ミッション

Q:救急医療には初期、第二次、第三次とあり、神戸労災病院は「第二次救急病院」ですね。


森:
はい。神戸市第二次救急病院協議会に参加し、輪番制を組んで一年365日の夜間・休日の救急急病診療を行っています。従来は、内科、外科、循環器科、整形外科の患者さんの受け入れをしてきましたが、創立50周年を迎えたことを機に体制を一新。これまで以上に救急医療に力を入れています。とくに2016年春からは新たな専門医を迎え、骨折や脱臼など、三次救急の範囲(多発性外傷や重篤な疾患など)に至らない外傷にも対応するようになり、その実績はこれまでの3~4倍に増えています。


大和屋:
当院には、脳神経外科、産婦人科、小児科がありませんが、医師も看護師も勉強会や研修を活用して、あらゆる科の知識を蓄えるよう心がけています。救急を担当するからには、当院で受けられない患者さんに対しても一刻も早く診断を下し、最適な医療機関に搬送する責任があると考えているからです。
救急スタッフのチームワークも大切です。以前、ウォークインで外来にみえた患者さんが院内で倒れて心肺停止になられたことがありました。私が胸骨圧迫しながら救急室に運び、吉見先生が蘇生チームのチームリーダーをされ、森先生がカテーテルをされて、数週間後には徒歩でお帰りになれるまで回復されました。いまでも近くで元気な姿をお見かけすることがあり、嬉しいですね。迅速な判断と対応によって、すぐに結果が出るのが救急のやり甲斐です。

 

臨機応変な使い方ができる救急室


Q:2014年11月に、救急外来の改修工事が行われたそうですね?

吉見:スペースが広くなって処置用のベッド数が増えたことに加え、ストレッチャーの移動がしやすいレイアウトになり、医療スタッフの動線が改善されました。また、複数の処置を並行して行っているときに、スタッフが全体の動向を見渡すことができるようになり、救急室全体としての対応力が上がったと感じています。これは、当院の医師が東京都立墨東病院(一次~三次救急に対応)へ研修に行った際に現場を視察した成果でもあります。
患者さんからの電話や救急隊からの連絡で聞いていた状態と実際が違っていたり、搬送中に急変したりと、患者さんの重症度が変われば治療する手順も変わります。フレキシブルな使い方ができる救急室で初療の効率が上がることは、一秒を争う救急の世界ではとても大切なことですし、患者さんにとってもプラスになると信じています。

大和屋:設備や機器類の一部も見直されました。たとえば、感染症対応のためのスペースが設けられ、空気清浄器や汚物に触れることなく処理できるパッキング付きのトイレが設置されたり、超音波モニターが刷新されて精度が高くなったりしましたね。

院内連携で総合ホットラインが機能


Q:他の第二次救急病院に比べて、誇れるところはどこですか?

森:普段から内科医が専門科の垣根を低くして知識共有に努めていることもあり、適切な診断と診断後の多科連携には自信を持っています。「救急主任」と呼ばれる現場責任者は、キャリア10年前後の知力・体力ともに充実した医師たち。みなフットワークが軽く、時間外にまでカンファレンスをすることもしばしばです。臨床研修医にとっても、診断のつかない状態からの診ることは、専門科に捉われない質の高い医療を経験することにつながります。(初期臨床研修医の研修では、当院と提携先の和歌山労災病院とを合わせて3ヶ月間の救急研修を行っています。)
それから、透析患者さんを受け入れられる点も強みです。抵抗力が下がっている状態なので感染症になりやすく、重症化しやすいため、細心の注意が必要。第二次救急病院の中で透析対応できる数少ない病院としての責務を感じています。

手に持っている黒い携帯電話が、ホットライン用の端末
手に持っている黒い携帯電話が、ホットライン用の端末

吉見:救急隊との連絡手段である「ホットライン(搬入要請電話)」が疾病ごとに細分化されていないのも特徴のひとつでしょう。心臓疾患専用、脳疾病専用……等々に分かれている「特殊ホットライン」は、心筋梗塞や脳溢血など病状や原因がはっきりしているときには有効なのですが、「何かよくわからないが重症に見える」というケースでは、搬送先の判断や救急車内での応急措置に迷いや遅れが生じることも少なくありません。その点、当院のホットラインは「内科」全体に対応しており、病態のよく分からない救急患者でも、あらゆる可能性を考えて受け入れる準備をしています。
実際、搬送された患者さんのうち約6割が総合内科への入院となっています。

 

Q:救急時に備えて、私たちに出来ることはあるでしょうか?

pb140069%e5%a4%a7%e5%92%8c%e5%b1%8b%e9%99%bd%e5%ad%90%e7%9c%8b%e8%ad%b7%e5%b8%ab吉見:私たちや救急隊の質問に落ち着いて答えていただければ大丈夫ですが、既往歴や服用中のお薬などを教えていただけると、診療がスムーズに進むかなと思います。

大和屋:神戸市には、ご自身の「名前や住所」「緊急時の連絡先」「持病」「かかりつけの医療機関」などの救急医療情報記入しておくための「安心シート」というものを作成しています。地域包括支援センター(あんしんすこやかセンター)などに置かれていますし、消防局のホームページからもダウンロードできるので、ぜひご活用ください。
http://www.city.kobe.lg.jp/safety/fire/ambulance/ansin_seat.html