ガンや認知症の早期発見にも一役・患者さんにより優しく高精度な検査を実現 ~画像診断に最新機器を導入~

ガンや認知症の早期発見にも一役 患者さんにより優しく高精度な検査を実現 ~画像診断に最新機器を導入~

体のどこかに具合の悪い部分がないかを調べる画像診断は、ガンや認知症の早期発見、救急医療での迅速な対応など、医療現場のさまざまなシーンで役立っています。画像検査の精度を高め、かつ、患者さんのご負担を軽くするために、CT検査と核医学診断の装置を更新しました。そこで、井上信孝副院長、循環器内科の岩田幸代部長、中央放射線部の木戸部長に、最新検査機器の特徴とともに、得られたデータがどのように診療に活かされるのかを聞きました。

 

 

「見た目」と「機能」の両面から診断

Q:今般、核医学診断装置を刷新されたそうですが、それぞれの機器で検査できる内容について教えてください。


井上:
CTは、おもに臓器の形や位置を調べるものです。たとえば、血管の太さがどれくらいか、腫瘍があればその大きさや位置はどこかといった情報が得られます。一方の核医学検査は、臓器がきちんと働いているか=機能を調べるものです。両者の結果を組み合わせることで、適切な治療方針を選んだり、効果的な治療が行われているかを判断したりします。

 

Q:まず、新しく導入したCTは、従来のものとどのような点が違うのですか?

topics17_kida木戸:次世代CTとも呼ばれる「SOMATOM Definition AS+」は、従来の機器に比べると格段に検査スピードが速く、128ものスライス(断面画像)を同時に収集することができます。皆さんは、ビデオで“一時停止”を押したときに、画像がブレてしまった、見たいタイミングと微妙にズレてしまった…というご経験はありませんか? ちょっと専門的な表現になりますがCTの“時間分解能”が高い(単位時間当たりに取れるデータ量が多い)と、常に動いている人体の状態を、あたかも止まっているかのように切り抜くことができるのです。
さらに、画像を解析する技術も高くなっていることも相まって、臨床の現場で必要とするデータが手に入りやすくなりました。当院では年間1万件以上のCT検査の実績がありますが、今後はさらに増えそうです。

 

 

CTの性能アップにより低侵襲の検査が可能に


topics17_dsc岩田:
臨床現場での活用例をいくつかあげてみましょう。
たとえば、冠動脈狭窄の有無を調べるために従来ならカテーテル検査を行っていたのですが、CTのスライスが16から128に増えたことで確実に心臓の拍動を捉えて正確な冠動脈を描出することができるようになりました。CT検査に切り替えれば、短時間での検査で冠動脈の状態がわかります。
また大腸の検査でも、炭酸ガスによって腸管を拡張させてCT撮影し、最新の3Dワークステーションを使うことにより大腸の腫瘍性病変を診断できるようになりました。これは内視鏡検査に比べて低侵襲で、腸に癒着が見られるような患者さんにも苦痛の少ない検査方法です。ただし、前処置をきっちりと行う必要があったり、被ばくの問題などから残念ながら検査に向かない方もおられます。今後は、診断はCTで行い、必要に応じてカテーテルや内視鏡を治療に用いるといった使い分けが増えるかもしれませんね。

 

認知症やガンの診断もできる核医学検査

Q:核医学診断装置に関しては、併用する薬剤の目覚ましい進化も見逃せません。

木戸:検査の種類によって用いる薬剤は異なりますが、薬剤に含まれるアイソトープ(同位元素)が目印となり、血液の流れや骨の代謝といった機能の異常がないかを知らせてくれるという原理は共通しています。
また、新しく導入した「Discovery NM630」は、従来製品に比べてアイソトープの反応をキャッチする感度が高く、短い検査時間でも高画質のデータが取れるようになりました。さらに、ワークステーションの機能も充実しており、CTやMRIで撮影した形態画像と重ね合わせることで、より精度の高い病変部の位置特定につながり一段と高レベルの診断支援が可能となります。

井上:核医学診断は、薬剤の進化にも後押しされて検査の幅がどんどん広がっています。
たとえば、骨シンチでは骨折の有無のみならず悪性腫瘍の骨転移まで検出できますし、以前は心筋シンチのみで使っていた薬剤検査がパーキンソン病の診断に使われるようになりました。

木戸:脳血流シンチグラフィは、脳の形態変化の前段階に起こる、脳血流の変化の状態を調べる検査で、CTやMRI検査ではとらえることのできない早期の脳血管障害や神経症状の検出ができます。パーキンソン病やアルツハイマー病を鑑別できる薬剤が開発されたことで、早期の認知症の診断にも用いられるようになりました。

 

ハードを医療サービスの向上に活かしたい


topics17_iwata岩田:
仮に原因不明の胸痛を訴える方が救急搬送されてきたら、命にかかわる心筋梗塞か大動脈解離か、それとも肺塞栓か?と原因を突き止めるため、CTで「悪いところはどこか」を調べて、その箇所にアプローチするでしょう。ところが同じ胸痛であっても、外来に「ときどき坂道を登ると胸が痛む」という患者さんが来られたら、自転車をこぐ運動負荷心筋シンチを行って血流の状態を確認するのが先かもしれません。

このように、どの検査をどの順番で使うかが私たちの腕の見せどころだと思っています。地域住民の皆さんの健康を守るために、整ったハードを最大限に生かしてまいります。